三匹のくま。

「三匹のくま。」はヨーロッパに伝わっているお話で、イギリス民話として、特に良く知られています。

ロシアの文豪、トルストイが再話している事でも有名で、絵本はジェイコブズのものと、トルストイのものが良く知られています。

三匹のくま。

むかし、むかし、ず〜っとむかし、森の奥に一軒の家がありました。

その家には、おおきなクマと、ちゅうくらいのクマ、そしてちっちゃなクマが、お行儀良く暮らしていました。

三匹のクマは、一匹、一匹、スープのお皿を持っていました。

おおきなクマは大きなお皿、ちゅうくらいのクマはちゅうくらいのお皿、ちっちゃなクマはちっちゃなお皿を持っていました。

それから三匹のクマは、それぞれ、椅子も持っていました。

おおきなクマは大きな椅子、ちゅうくらいのクマはちゅうくらいの椅子、ちっちゃなクマはちっちゃな椅子を持っていました。

三匹のクマは、二階に、一つずつベッドを持っていました。

おおきなクマは大きな固いベッド、ちゅうくらいのクマはちゅうくらいのふかふかベッド、ちっちゃなクマはちっちゃなベッドを持っていました。


ある日三匹のクマは、朝スープを作ると、それぞれのお皿に分けると、食べるのにちょうど良くなるまで、森に散歩に出かけました。

ちょうどその後、金髪の女の子が三匹のクマの家の前を通りかかりました。

三匹のクマの家は、人間の家とは少し変わっていて、ドアも窓も煙突も、ちょっと変わった形をしていました。

壁は泥で出来ていて、ドアは丸いドアでした。煙突は石が積まれて出来ていて、窓は木のうろがそのまま窓になっていました。

人のお家をのぞくのは、ホントはいけない事でした。

でも、こんなお家にはいったい誰がすんでるのかな?

金髪の女の子は知りたくて知りたくて、つい窓をのぞいてしまいました。

家の中には、木の株で出来たテーブルが見えました。でも中には誰も見えません。

女の子は他に見える所は無いかと探しました。

すると、ドアのカギ穴が目に入りました。

カギ穴から人のお家をのぞくのは、やっぱりいけない事でした。

でも、こんなお家は見た事がなくて、中をどうしても見たくて見たくてたまりませんでした。

金髪の女の子はカギ穴にそ〜っと顔を近づけると、そのカギ穴から中をのぞきました。

すると、ドアがキィィと開いてしまいました。

中には誰もいないようでした。

よそのおうちに黙って入ってはいけないのですが、金髪の女の子は中が見たくて見たくて仕方ありませんでした。

女の子は家の中にそ〜っと入りました。

中には、かまどとおなべ、切り株のテーブルとその上には、スープの入ったお皿が三つ、ありました。

スープからはおいしそうな匂いがしていました。

よそのおうちの食べ物を勝手に食べてはいけないのですが、ほんとうにおいしそうな匂いがするのです。

どんなにおいしいスープなのかな?女の子は、大きなお皿のスープに口をつけました。

大きなお皿のスープはまだ熱くて飲めませんでした。

中くらいのお皿のスープもまださめていませんでした。

ちっちゃなスープ皿のスープはちょうど良い加減で、女の子はみんな食べてしまいました。

おなかが一杯になった女の子は、すこし休もうと、そばの椅子に座りました。

その椅子は大きくて、石で出来ていて、座るととても冷たかったのです。

女の子は隣にある中くらいの椅子に座り直しました。

でも、その椅子は丸木で出来ていて、ゴロゴロしていたのです。

女の子は隣にあるもっと小さな椅子に座りました。

その椅子は高さも座り心地も女の子にはちょうどよく、女の子は嬉しくて、ちょっとお行儀の悪い座り方をしてしまいました。

そしてポ〜ンと椅子の上ではねて、椅子の真ん中をボコンと抜いてしまいました。

女の子は自分が椅子を壊してしまったのにプンプン怒って立ち上がると、他に何か面白いものは無いか?と探しました

。階段がありました。

女の子がその階段をかけ登ると、そこにはベッドが三つありました。

女の子は一番大きなベッドにもぐり込みました。

でも、枕が大きくて、高すぎました。次に中くらいのベッドにもぐり込みました。

そのベッドは少し硬すぎました。

最後に女の子は一番小さいベッドにもぐり込みました。

そのベッドは女の子にちょうどよく、いつのまにかぐっすり眠ってしまいました。


そろそろ熱いスープもさめた頃かな?

三匹のクマは散歩から家に帰ってきました。

でも、自分たちの家のドアが開いています。

これはどうしたことでしょうか?

誰かが勝手に家の中に入ったのでしょうか?

そんないたずらをする動物はこの森の中にいませんでした。

三匹のクマは恐る恐る自分たちの家をのぞき込みました。

なかに入って見るとテーブルの上のお皿を誰かがさわったのか、スプーンが入れてありました。

「俺の大きなスープ皿を誰かさわったな。」

大きなクマが大きな声でいいました。

「私の中くらいのスープ皿を誰かさわってるわ。」

中くらいのクマが中くらいの声でいいました。

「ボクのスープ、誰かが全部たべちゃった。」

小さなくまが小さな声でいいました。

お皿の中にはスープがありませんでした。


やはり誰かが家の中に入ってスープを食べちゃったのです。


三匹のクマはあたりをうかがいました。v

すると大きな椅子の上のクッションが床に落ちていました。

「誰かが俺の椅子にすわったな。」

大きなクマが大きな声でいいました。

中くらいの椅子が倒れていました。

「誰かが私の椅子を倒したわ。」

中くらいのクマが中くらいの声でいいました。

小さな椅子は座る所が抜けていました。

「ボクの椅子、誰かが壊しちゃった。」

小さなくまが泣き出しそうな声でいいました。


三匹のクマは、もしかしたら泥棒か、怪物がいるのかも知れないと思いました。

まだどこかに隠れているかも知れない。

三匹のクマはあちこちを探し、そして二階へそっとあがっていきました。

二階へ上がると、大きなベッドの枕がゆがんでいました。

「誰かが俺の枕を動かしたな。」

大きなクマはむっとして言いました。

中くらいのベッドは掛け布団が落ちていました。

「誰かが私の布団をおとしたわ。」

中くらいクマが困ったように言いました。

小さなクマは震えるような声で言いました。

「・・・ボクのベッドに誰かいる。」

小さなクマの言うように、小さなベッドには誰かが寝ていました。

枕の上にちょこんと金の髪がのぞいていました。


三匹は恐る恐るベッドをのぞき込みました。

すると女の子は、パチッと目を開け、のぞき込んでいる三匹のクマと目が会いました。

金髪の女の子は「きゃー!」と声を上げました。

小さなクマは「うわー!」と声を上げました。

中くらいのクマも「ひー!」と声を上げました。

大きなクマはみんなが大声を出すのでびっくりして「ぎゃー!」と声を上げました。

金髪の女の子は驚いて布団から逃げ出すと外へ飛び出し森の奥へと走って行きました。


三匹のクマは何が何だかわかりませんでした。

そしてそれ以来、金髪の女の子を見る事はありませんでした。


三匹のクマは森の家でお行儀良く今も暮らしています。


         「三匹のくま。」


劇中の「女の子」は古くは「おばあさん」としてえがかれていたそうです。

「三匹のくま」は、道徳を受け入れた野生で、「森のおばあさん」は、道徳を受け入れる前の野生とも受け取れます。

生活のルールを知りはじめた子供には、「ちょっとお行儀の悪い女の子」の方が身近なものですし、くまの生活が楽しそうに見えるのも子供ならではの感覚でしょうか。

小さな子供に「お行儀良く。」といっても難しいですからね。


ちなみに、このお話のエピソードは宮崎駿さんの「パンダコパンダ」に使われています。さすがにひねってありますよ(笑)。


◆補記

 ◇「パンダコパンダ」昭和47年。

  東京ムービー制作、東宝チャンピオン祭りの中の一本。

  翌48年に続編「パンダコパンダ雨ふりサーカス」が作られました。

 ◇もりのクマさん。

  この歌は内容が似ていますが、なんの関係もありません。




 
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