お話歳時記

釜蓋朔日。

  関東から中部地方にかけては、七月一日を「釜蓋朔日」「釜蓋あき」「釜の口あけ」などと言い、この日を盆の始まりとします。

  この日は地獄の釜のふたがあいて精霊が出てくる日とされていました。 昔の人は、地獄は非常に遠いので、先祖の精霊が家に帰るためには、早く地獄を出発しないと間に合わないと考えたのです。

  この日に畑に行って地面に耳をつけると、地獄の釜のふたが開く音がするとか、亡霊の叫び声が聞こえるなどと言って、急いで盆の準備をします。

  小麦粉で団子を作ったり、釜蓋餅という餅を作ったり、新盆の家では高灯籠を立てたりします。

  高く立てれば立てるほどよいと言われていて、十メートル以上もあるさおを立てて提灯をつるします。高いところに登って火を燃やしたり松明を振ったりする代わりに、高灯籠をつるすようになったようです。

  また、精霊を迎えるために、墓までの道などをあらかじめ掃除し、草を刈って、先祖様の通り道を作ります。このことを「盆路作り(ぼんみちつくり)」「朔日路(ついたちみち)」「刈り路作り(かりみちづくり)」などと言います。

  十二月の煤払いと同じように、「盆煤掃き(ぼんすすはき)」と言って墓の掃除をするのがならわしです。