お話歳時記

盆の行事。

  盆に仏様を迎える行事を、「精霊迎え」と言います。

  多くの地方では、河原や辻、家の戸口や寺の門前、墓で火をたくことを言います。

  そのほかにも、仏様が舟に乗ってこられるようにと、笹舟に米や小豆をのせて川に浮かべるところもあります。

  また、千葉県や富山県では、仏様が到着されたときのために、たらいに足洗い用の水をくんでおいたり、「足洗い粥」と言って小豆粥を供えたりします。

  また、粥ではなく、「落ち着き団子」「落ち着き餅」と言って、団子や餅を盆棚にまず供える土地もあります。

  精霊を迎えるために、普通は十三日の夜に家の前でたく火を「迎え火」と言います。

  これは仏様の足元を照らすという意味と同時に、仏様にとっても危険な悪霊を追い払うという意味もあるのです。 悪霊を追い払うためには、もっと大がかりに村の共同行事として高い山に登って火を振り回したり、小正月の左義長とおなじように、盆小屋という小屋を作って焼く火祭りの行事もあります。

 このほうが本来の古い形であったようです。

  群馬県では「火とぼし」あるいは「百八燈」と言い、子どもたちが山の上に麦ワラを運んで焼き、ミチビと言って途中に置いたワラ束に火をつけて降りてくる行事があります。

  また、徳島県では、子どもたちが竹で盆小屋を作り、「牛打ち坊(妖怪の一種)焼き殺せ」と言いながらこれを燃やす行事があります。 おなじように、仏様の道しるべに「高灯籠」をたくさん立てるところもあります。 そして、仏様をあの世に送るときには「送り火」をたき、「精霊流し」「灯籠流し」を行います。

  また、迎え火、送り火のときに唱え事を言う習慣も各地にあります。

  秋田県では「コナガリ」と言って、迎えるときには「コナガリ、コナガリ、爺っちゃも婆っちゃもみな来い来い(この明かりをめざしてお祖父さんもお祖母さんもみんないらっしゃい)」と唱え、送るときには「みな行っとれや、行っとれや」と唱えます。

  島根県では、十三日に「仏さん、こなかりにござつしゃい」、十四日と十五日に「遊ばっしゃい」、十六日に「こなかりにいなっしゃい」と大声で叫びます。